お遍路の装備紹介
私が歩いた時の装備をご紹介します。季節が梅雨から盛夏でしたので薄着で軽装でした。荷物はバックパックとウェストポーチで運び、バックパックは中身を含めて6kg弱。夏は暑くて大変ですが、荷物が軽くて良い面もあります。
1.服装
Tシャツとトレッキング用パンツは、どちらも速乾性で、夜に洗濯しても朝には乾くタイプ
雨に降られても、雨が上がればすぐに乾くのも助かります。パンツは短パンでなく長いタイプの方が無難と思います。虫や鋭い茨から脚を守ってくれますので。
2.靴
歩き遍路には一番大事な装備。前半はトレッキングシューズ(ミドルカット)で、後半は右側のウォーキングシューズを使いました。
私は準備期間がなく、新品の靴で歩いて失敗しました。靴の履き方にも問題があったかもしれませんが、靴と足が接する部分に炎症を起こしたり、足の指や踵の靴擦れが酷かったりで、後半は足の形にフィットしてくれそうな、ウォーキングシューズに取り替えました。
トレッキングシューズは、足首をホールドしてくれたり、ソールも分厚くて石や岩から足裏を守ってくれたりと、山道向き。ウォーキングシューズは、軽くて衝撃吸収性が良いので舗装路向き。当たり前ですが、一長一短です。お遍路と言っても、舗装路や平地の土の道が多いので、トレッキングシューズでなければと思うシーンは多くありません。ただし、私が使ったウォーキングシューズは華奢な軽量タイプでしたので、岩や石の多い山道では足の裏が痛い時がありました。今度、歩き遍路をする機会があれば、この中間をとって、トレッキングランニング用シューズで、ソールが厚くて頑丈なタイプを選ぶと思います。いずれにせよ、履き慣れた靴で歩くのが一番大事です。
3.お遍路装束
お遍路笠(大きなサイズで、ビニールカバー付き)をかぶり、Tシャツの上に白衣(長袖)を羽織り、首に輪袈裟を掛けて歩きました。
笠は大きなサイズで正解だったと思います。少しの雨なら傘や合羽なしで歩けますし、なにより陽光を遮ってくれるのが助かりました。短所は、狭い所を通る時に引っかかったり、風に煽られやすいことです。
これも個人的な感想ですが、白衣も長袖がお勧めです。木の枝等との接触、日焼け等を軽減してくれますので。半袖や袖無しのタイプは長袖よりも涼しいという意見もありますが、最高気温30℃ともなれば、袖があってもなくても変わらないように思います。実際、余りの暑さに閉口し、白衣を脱いで歩いたことがありますが、涼しく感じなかったのでその後は白衣を着用しました。
なお、輪袈裟は、トイレなどの不浄な場所には外して入るのがルールだそうです。ご注意ください。
4.金剛杖
お大師様の化身であり、アップダウンのきつい山道では実用的な杖にもなります。
なんといっても、お大師様の化身。宿に着いたら、まず杖を水で洗い、床の間(上座)に置いて大事にします。十夜ヶ橋の伝説に因んで、橋の上では杖をつかないのがしきたりです。また、札所に杖を置き忘れる人が多いようですからご注意ください。私は、通常は杖をつかずに歩き、山道で体重を預けたい時だけ、杖をついて歩きました。
5.携帯品
札所の参拝で使う物、歩きながら頻繁に見る地図は、いつでも取り出せるようウェストポーチに入れて携帯しました。
左から、経本、納め札、納経帳、上が、線香・ローソクケース、下がお賽銭を入れる布袋
左から、数珠、へんろみち保存協会編の地図
札所では、まず山門で一礼して境内に入り、バックパックと杖をベンチに置きます。身軽になった所で、鐘を突き、手水場でお清めをします。続いて、本堂と大師堂でそれぞれ、蝋燭、線香をお供えし、お賽銭をあげて合掌。宝号と般若心経を唱えて、写経と納め札を奉納。最後に納経所で記帳。
この一連の所作に必要なものをウェストポーチに入れ、お参りの際も肌身離さず携帯しました。あと財布とデジカメも。ちなみに、線香・ローソクケースは遍路用品店でいただいたもので、ライターも入れられて便利でした。お賽銭の布袋は最初に泊まった民宿森本屋さんでいただいたものです。また、経本、納め札、納経帳は雨に濡れないよう、ジップロックに入れてからポーチに入れました。
下の写真は、ウェエストポーチ。上の携帯品を入れ、外のポケットの一方に線香・ローソクケースを、もう一方にペットボトルの水やお茶を入れて歩きました。
6.荷物
携帯品以外の荷物は、下のバックパック(容量30リッター)に入れて担いで歩きました。焼山寺の水切れに懲りて以来、バックパックの外ポケットに500mlのペットボトルの水かお茶を2本入れて歩きました。バックパックと中身で6kg弱、これにペットボトル2本の1kgで合計7kg弱。しかし、黄色のバックパックに赤のウェストポーチって・・・・。
6.1 四国地図、へんろみち保存協会編の解説本
6.2 雨具
ポンチョ型で、バックパックを背負った上からガバッと着る合羽を使いました。素材はゴアテックスでなく、透湿性のないタイプ。長所は、急に雨が降ってきた時にすぐに着用できること、バックパック専用のカバーが不要なこと、高価でないこと。短所は、空気を外に逃がさないため、着用時はポンチョの下が蒸し風呂状態になること。
6.3 筆記用具
- 日記を書くためのノート、シャープペンシル
- 写経の用紙、筆ペン、お手本
本編でも書きましたが、私は読経だけでなく写経も各札所の本堂と大師堂でお納めしました。このため、88カ所X2で176枚の写経が必要ですが、まずは四国入りする前に般若心経を60枚程度書き貯めておき、四国入りしてからも宿で時間を見つけて書くようにしました。事前の準備では、この写経が一番時間もかかり大変でした。
また、納め札も本堂と大師堂でそれぞれお納めします。お札には自分の氏名・住所、お願い事などを記入しますので、写経と同じく、宿で時間を見つけて書き貯めるようにしました。
6.4 電子機器
- 携帯電話と充電器
- シェーバーと充電器
- 電源の分配コード
- デジカメと充電器
私が歩いた2006年当時は、SDカードがそこそこ高価でしたし容量も1GB程度でした。なので、大きな町ではカメラチェーン店に立ち寄り、撮影した画像ファイルをCDにコピーしては、SDカードを初期化していました。今や、16GBのSDカードが3000円で買えますから、余程の写真マニアでない限り、これが1枚か2枚あれば事足りると思います。ちなみに、私はパナソニックのDMC−FZ7(600万画素)というデジカメで、四国遍路を通して1700枚弱の写真を撮影しました。カード容量の制約がなければ、この倍程度は撮ったと思います。
ただし写真撮影やカメラに気を取られ過ぎると、人との出会いや会話を阻害したり、自分の目で景色を楽しむ時間が減ったりする可能性もありますから、記録用と割り切って撮影するのがお勧めです。ちょっとした工夫として、札所に到着した時に山門を撮影し、画像の撮影時間を見れば各札所の到着時間が分かるようにしたり、県境を越える時には最寄りの道路標識や看板を撮影する等、後で行程を振り返る時の目印になる建物や自然物を撮影しました。
また夏ならではのトラブルですが、流れる汗がデジカメに落ちて一部機能が動かなくなったり、突然の雨に濡らして焦ったりもしました。個人的には、高価なカメラでなく、小型軽量で出し入れのし易いコンパクトデジカメが良いかと思います。
あと、今にして思えば、ボイスレコーダを持って行き地元の方や一緒になったお遍路さんとの会話を録音しても面白かったかも。
6.5 その他
- 下着、靴下、タオル、洗剤、洗面用具
- 風邪薬、消毒液、下痢止め、鎮痛剤、傷テープ、テーピング、はさみ、保険証のコピー
- 靴擦れ防止スプレー(DICTON SPORT)、虫除けスプレー、日焼け止め
上の写真は、靴擦れ防止スプレーの”DICTON SPORT”。歩く前に足にすり込むと摩擦を軽減する被覆ができ、足がツルツルして靴や靴下と擦れなくなります。フライパンにテフロン加工するようなものですね。マラソン選手も使うそうで、陸上競技経験者に教えてもらいました。使い始めてからはまったくの豆知らず、優れものです。さらに、出発前に靴擦れを防止するために足をテーピングしていましたが、これが不要となり、毎朝の準備時間も短縮できました。雨がなければ終日効果が持続しますし、私個人の経験では、手放せない歩き遍路グッズです。
7.所持金
お金を預けたり下ろしたりするには、郵便貯金の口座がお奨めです。なんといってもATMや郵便局の数は銀行と比べて圧倒的。あと、お賽銭用の小銭に両替えしてもらえるのも便利です。
また、コンビニも至る所にありますから、銀行口座であってもコンビニのATMで入出金できるのであれば、お金の管理で困ることはないと思います。